放送大学は1983年に設立された通信制の大学で、現在約9万人の学生が在籍する日本最大規模の通信制大学です。
しかし、インターネット上では「放送大学 恥ずかしい」という検索キーワードが見られ、在学生や卒業生の中には引け目を感じている人もいるようです。
実際のところ、放送大学は恥ずかしい学歴なのでしょうか。
データと事実を基に、この偏見が誤解であることを証明していきます。
なぜ「恥ずかしい」という偏見が生まれるのか
1. 通信制大学への根拠のない偏見
日本では通学制の大学が「標準」という固定観念がありますが、これは単なる偏見です。
実際、アメリカでは全大学生の約30%が通信制で学んでおり、世界的には通信制教育は一般的な選択肢となっています。
2. 入試制度への誤解
「入試がないから誰でも入れる」という誤解がありますが、これは大きな間違いです。
放送大学は「入学は易しく、卒業は難しい」という欧米型の大学システムを採用しており、卒業率は約50%と、決して簡単に卒業できる大学ではありません。
3. 学生の多様性への無理解
年齢層が幅広いことを否定的に捉える人もいますが、これはむしろ放送大学の強みです。
様々な職業・年齢の人々が集まることで、通学制大学では得られない多様な視点と経験を共有できます。
放送大学が恥ずかしくない5つの確固たる理由
1. 正規の国立大学としての地位
放送大学は文部科学省が設置した正規の国立大学法人です。
卒業すれば学士(教養)の学位が授与され、これは他の国立大学と全く同等の価値を持ちます。
大学院も設置されており、修士号・博士号の取得も可能で、実際に多くの卒業生が研究者として活躍しています。
2. 教授陣の質の高さが証明する教育水準
放送大学の教授陣には、東京大学、京都大学、早稲田大学などの名門大学で教鞭を執る教授が多数含まれています。
例えば、ノーベル賞候補にも挙がった研究者や、各分野の第一人者が講義を担当しており、教育の質は一流大学に引けを取りません。
3. 企業からの高い評価と就職実績
大手企業の人事担当者への調査では、放送大学卒業生に対して以下のような評価が寄せられています:
- 「自己管理能力が高い」
- 「学習意欲が強い」
- 「仕事と両立して卒業した実績を評価する」
実際、トヨタ自動車、日立製作所、NTTグループなど、日本を代表する企業にも多くの卒業生が就職しています。
4. 卒業の難しさが示す学位の価値
放送大学の卒業率は約50%で、これは多くの通学制私立大学の卒業率(90%以上)と比較して明らかに低い数字です。
つまり、放送大学を卒業することは、高い自己管理能力と継続的な努力の証明となります。
単位認定試験も厳格で、安易な単位取得はできません。
5. 著名な卒業生たちの活躍
放送大学の卒業生には、以下のような方々がいます:
- 地方議会議員として活躍する人
- 大学院に進学し、研究者になった人
- 起業して成功した経営者
- 専門職として第一線で活躍する人
これらの実績は、放送大学の学歴が社会で十分に通用することを証明しています。
データで見る放送大学の実力
学生数と卒業生数
- 在学生数:約90,000人(日本最大の通信制大学)
- 累計卒業生数:約170,000人
- 大学院修了者数:約6,000人
学生の職業分布
- 会社員:約40%
- 公務員:約15%
- 教育関係者:約10%
- 医療・福祉関係者:約10%
- その他(自営業、主婦、定年退職者など):約25%
このデータは、社会で活躍する多くの人々が放送大学を選んでいることを示しています。
単位取得率と卒業率
- 単位取得率:約70%(全国平均)
- 4年での卒業率:約20%
- 最終的な卒業率:約50%
これらの数字は、放送大学での学習が決して「簡単」ではないことを明確に示しています。
放送大学の強みと社会的意義
1. 学費の圧倒的な安さ
卒業までの総費用は約70万円で、私立大学の約4分の1以下です。
これにより、経済的理由で大学進学を諦めていた人々に高等教育の機会を提供しています。
2. 地域格差の解消
全都道府県に学習センターがあり、離島や過疎地に住む人々も大学教育を受けられます。
これは教育の機会均等という観点から、極めて重要な社会的役割です。
3. リカレント教育の先駆け
「人生100年時代」において、社会人の学び直しは必須となっています。
放送大学は、日本におけるリカレント教育の先駆けとして、重要な役割を果たしています。
4. 国際的な評価
放送大学は、アジア公開大学連合(AAOU)の加盟校として、国際的にも認知されています。
海外の通信制大学との単位互換も行われており、グローバルな視点でも評価されています。
「恥ずかしい」という偏見への反論
偏見1:「レベルが低い」
反論:東大や京大の教授が教える授業のレベルが低いはずがありません。
むしろ、仕事をしながら卒業する困難さを考えると、卒業生の実力は高いと言えます。
偏見2:「就職に不利」
反論:多くの企業が放送大学卒業生を積極的に採用しています。
特に社会人経験がある卒業生は、即戦力として高く評価されています。
偏見3:「大学らしくない」
反論:「大学らしさ」とは何でしょうか。
本来の大学の役割は「学問を修める場」であり、その点で放送大学は十分に大学としての役割を果たしています。
まとめ:放送大学は誇るべき選択
放送大学を「恥ずかしい」と感じる必要は全くありません。
むしろ、以下の理由から誇るべき選択と言えます:
- 国が設置した正規の大学で、学位の価値は他大学と同等
- 一流の教授陣による質の高い教育
- 卒業の困難さが証明する学位の価値
- 企業からの高評価と確かな就職実績
- 社会的意義の高い教育機関
「恥ずかしい」という偏見は、単なる無知と偏見から生まれたものです。
放送大学は、学びたいすべての人に門戸を開く、日本の高等教育における重要な選択肢の一つです。
大切なのは、どこで学ぶかではなく、何を学び、それをどう活かすかです。
放送大学での学びを通じて、自信を持って社会に貢献することこそが、偏見を打ち破る最良の方法なのです。